はじめに:スタックトレースってなに?
Javaでプログラミングをしていると、画面にずらっと英語のメッセージが並ぶことがあります。初心者にとっては「バグった?」「よく分からない!」となりがちなこのメッセージ、実はとても重要なヒントです。
この英語のメッセージは「スタックトレース(stack trace)」と呼ばれます。Javaが「どこで」「何が」起きたかを詳しく教えてくれる、エラー調査の宝の地図です。
スタックトレースの正体:エラーの履歴書
スタックトレースとは、「どのクラスの、どのメソッドが、どの行で、どんなエラーを起こしたか」を順番に記録したものです。
Javaの世界では、何かしらの例外(Exception)が起きたときにこのスタックトレースが自動的に出力されます。
以下はその一例です。
1 |
Exception in thread "main" java.lang.NullPointerException<br> at com.example.MyApp.process(MyApp.java:14)<br> at com.example.MyApp.main(MyApp.java:8)<br> |
この例では、NullPointerException
(ヌルポインタ例外)というエラーが発生し、それが MyApp.java
の14行目で起きたことを教えてくれています。
なぜスタックトレースは重要なの?
スタックトレースを読めるようになると、自分の書いたコードのどこに問題があるのか、すばやく特定できるようになります。
こんな人に役立ちます:
- Javaを独学で勉強している人
- エラーが出ても原因が分からない人
- 開発現場でバグ修正を任されるようになった新人プログラマー
スタックトレースの基本構造
スタックトレースは上から順番にエラー発生の流れを追うことができます。
行 | 意味 |
---|---|
Exception in thread "main" | メインスレッドで例外が発生 |
java.lang.NullPointerException | 発生した例外の種類 |
at com.example.MyApp.process(MyApp.java:14) | 14行目のprocessメソッド内で発生 |
at com.example.MyApp.main(MyApp.java:8) | mainメソッドから呼ばれていた |
実践:エラー例から学ぶスタックトレースの読み方
例1:NullPointerException
1 |
String name = null;<br>System.out.println(name.length());<br> |
出力されるスタックトレース:
1 |
Exception in thread "main" java.lang.NullPointerException<br> at Main.main(Main.java:3)<br> |
→ name
が null
なので、.length()
を呼び出そうとしてエラー。
例2:NumberFormatException
1 |
int number = Integer.parseInt("abc");<br> |
出力:
1 |
Exception in thread "main" java.lang.NumberFormatException: For input string: "abc"<br> at java.base/java.lang.NumberFormatException.forInputString(NumberFormatException.java:68)<br> at java.base/java.lang.Integer.parseInt(Integer.java:658)<br> at java.base/java.lang.Integer.parseInt(Integer.java:776)<br> at Main.main(Main.java:2)<br> |
→ 文字列 "abc"
を数値に変換しようとしたことが原因。
よくあるスタックトレースの疑問と注意点
Q1: ... 1 more ってなに?
スタックトレースの最後に ... 1 more
と表示されることがあります。これは「上の例外にすでに表示済み」という意味です。詳しく見るには Caused by
の部分に注目しましょう。
Q2: e.printStackTrace() は便利?
便利ですが、むやみに使うのは注意。ログに残らないこともあるので、業務では Logger
を使う方が確実です。
原因調査の進め方
- スタックトレースでエラー箇所を探す
- そのコードを見て何がnullか、何が失敗したかを考える
- 再現条件(入力や環境)を調べる
- 修正して再テスト
Javaでのログ活用
Javaではログを使ってスタックトレースを残す方法が多くあります。
1 |
try {<br> // 処理<br>} catch (Exception e) {<br> logger.error("処理中にエラー", e);<br>}<br> |
このように e
をそのままログに渡すことで、スタックトレースも一緒に記録されます。
よくあるエラーとスタックトレース例
エラー名 | 意味 | 原因の例 |
---|---|---|
NullPointerException | null参照でメソッド呼び出し | 初期化忘れ |
ArrayIndexOutOfBoundsException | 配列の範囲外アクセス | インデックス計算ミス |
ClassNotFoundException | クラスが見つからない | クラスパスミス |
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まとめ
- Javaのスタックトレースは「エラーの履歴書」
- 読み方を覚えれば、原因がどこか一目でわかる
- 例外の種類ごとに、よくある原因を知っておくと便利
- 学びたい人は「絶対にJavaプログラマーになりたい人へ。」を読み、さらに深く学びたいならサイゼントアカデミーへ!
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