プログラミング初心者の方やこれからJavaを学び始める方にとって、デザインパターンの理解は一見難しく感じられるかもしれません。しかし、Observerパターンは日常生活にも例えやすく、比較的理解しやすいデザインパターンのひとつです。本記事では、Observerパターンを初心者向けにわかりやすく解説します。コード例やポイントも紹介しますので、Javaの基礎知識がある方ならすぐに実践できます！
Observerパターンとは？
Observerパターンは、あるオブジェクト（Subject）の状態が変化した際に、その変化を他のオブジェクト（Observer）に通知する仕組みを構築するためのデザインパターンです。この仕組みを使えば、オブジェクト同士の依存関係を緩やかにし、システムの柔軟性や拡張性を向上させることができます。
日常生活でのObserverパターン
Observerパターンを日常生活に例えると、「天気予報アプリ」と「ユーザー」の関係がわかりやすいでしょう。天気予報アプリ（Subject）が最新の天気情報を更新すると、アプリの通知機能を通じて、登録しているユーザー（Observer）にその情報が届けられます。この仕組みこそがObserverパターンです。
Observerパターンのメリット
Observerパターンには以下のようなメリットがあります。
- 柔軟性の向上
SubjectとObserverの依存度を低く抑えることで、変更や拡張が容易になります。新しいObserverを追加しても、既存のコードを大きく変更する必要がありません。 - 再利用性の向上
Observerは異なるSubjectに再利用可能です。一度作成したObserverクラスを別のプロジェクトでも活用できることがあります。 - 状態管理の簡略化
Subjectが状態変化を管理し、それをObserverに通知する仕組みなので、各Observerが独自に状態を確認する必要がなくなります。
Observerパターンの基本構成
Observerパターンには主に以下の3つの構成要素があります。
- Subject（観察対象）
変化を監視されるオブジェクトです。Observerを登録したり、通知を行います。 - Observer（観察者）
Subjectの状態変化を受け取るオブジェクトです。 - 通知機能
Subjectが状態変化をObserverに通知するための仕組みです。
JavaでのObserverパターンの実装例
ここでは、Observerパターンの実装例を具体的に示します。コードを一緒に見ていきましょう。
1. Observerインターフェースの定義
Observerが実装するべきメソッドを定義します。
|
1 |
public interface Observer {<br> void update(NumberGenerator generator);<br>}<br> |
2. Subjectクラスの実装
SubjectはObserverを登録・削除し、状態変化を通知します。
|
1 |
import java.util.ArrayList;<br>import java.util.List;<br><br>public abstract class NumberGenerator {<br> private List<Observer> observers = new ArrayList<>();<br><br> public void addObserver(Observer observer) {<br> observers.add(observer);<br> }<br><br> public void deleteObserver(Observer observer) {<br> observers.remove(observer);<br> }<br><br> public void notifyObservers() {<br> for (Observer observer : observers) {<br> observer.update(this);<br> }<br> }<br><br> public abstract int getNumber();<br> public abstract void execute();<br>}<br> |
3. 具体的なSubjectクラスの実装
ランダムな数値を生成する具体的なSubjectを作ります。
|
1 |
import java.util.Random;<br><br>public class RandomNumberGenerator extends NumberGenerator {<br> private Random random = new Random();<br> private int number;<br><br> @Override<br> public int getNumber() {<br> return number;<br> }<br><br> @Override<br> public void execute() {<br> for (int i = 0; i < 20; i++) {<br> number = random.nextInt(50);<br> notifyObservers();<br> }<br> }<br>}<br> |
4. Observerクラスの実装
Observerとして、数値をそのまま表示するDigitObserverと、数値を’*’で視覚化するGraphObserverを実装します。
|
1 |
public class DigitObserver implements Observer {<br> @Override<br> public void update(NumberGenerator generator) {<br> System.out.println("DigitObserver: " + generator.getNumber());<br> try {<br> Thread.sleep(100);<br> } catch (InterruptedException e) {<br> e.printStackTrace();<br> }<br> }<br>}<br><br>public class GraphObserver implements Observer {<br> @Override<br> public void update(NumberGenerator generator) {<br> System.out.print("GraphObserver: ");<br> int count = generator.getNumber();<br> for (int i = 0; i < count; i++) {<br> System.out.print("*");<br> }<br> System.out.println();<br> try {<br> Thread.sleep(100);<br> } catch (InterruptedException e) {<br> e.printStackTrace();<br> }<br> }<br>}<br> |
5. 実行クラス
実際にObserverパターンを動かしてみます。
|
1 |
public class Main {<br> public static void main(String[] args) {<br> NumberGenerator generator = new RandomNumberGenerator();<br> Observer observer1 = new DigitObserver();<br> Observer observer2 = new GraphObserver();<br> generator.addObserver(observer1);<br> generator.addObserver(observer2);<br> generator.execute();<br> }<br>}<br> |
実行結果
以下のような出力が得られます。
|
1 |
DigitObserver: 20<br>GraphObserver: ********************<br>DigitObserver: 35<br>GraphObserver: ***********************************<br> |
Observerパターンの応用例
Observerパターンは、次のようなケースで活用されることが多いです。
- イベントリスナー（ボタンのクリックイベントなど）
- データバインディング（UIとデータの同期）
- 通知システム（メールやアラートの送信）
Javaを学ぶなら「まずは自己学習」から！
このObserverパターンを学ぶことで、デザインパターンの重要性を実感できたのではないでしょうか。さらに深くJavaを学びたい方は、専門書や自己学習ツールを活用して知識を深めましょう。特に、Javaプログラミングの基礎から応用までを網羅した絶対にJavaプログラマーになりたい人へ。がおすすめです。
プログラマー転職ならサイゼントアカデミー
Javaを本格的に学び、プログラマーとしてキャリアをスタートさせたい方は、転職サポートが充実したサイゼントアカデミーを検討してみてください。自己学習で理解できない部分や、実際のプログラムのレビューを受けたい場合にも、頼りになる存在です。初心者からでも安心して学べる環境を提供しています。
まとめ
Observerパターンは、オブジェクト間の関係性を柔軟に保ちながら通知システムを構築できる便利なデザインパターンです。Javaの基礎的な知識があれば、簡単に実装することができます。まずはコードを実際に書いて動作を確認し、Observerパターンの仕組みを体感してみましょう。
次のステップは、他のデザインパターンにも挑戦してみることです！それでは、Javaプログラミングの旅を楽しんでください。
コメント