はじめに
Java を学習していると、こんな悩みにぶつかる人がとても多いです。
- オブジェクトがいつ作られているのか分からない
- いつの間にか値が変わっていて原因が追えない
- null になったけど、どこでそうなったのか分からない
これらの正体は、
オブジェクトのライフサイクルを感覚で理解できていないこと
にあります。
そして、この問題を一気に解決してくれるのが
デバッガー です。
この記事では、
デバッガーを使ってオブジェクトのライフサイクルをどう見るのか
を、プログラミング初心者でもイメージできるように解説します。
オブジェクトのライフサイクルとは
Java におけるオブジェクトのライフサイクルは、とてもシンプルです。
- 生成される
- 使われる
- 参照されなくなる
- 回収される
この流れを 頭ではなく、目で理解する ことが重要です。
Java はメモリ管理を自動で行ってくれる言語ですが、
自動だからこそ「何が起きているか分からない」と感じやすいのです。
なぜデバッガーで見る必要があるのか
println で値を出力して確認する方法もありますが、
それでは 瞬間の状態 が分かりません。
デバッガーを使うと、
- この行に来た瞬間
- この代入が行われた直後
- このメソッドを抜ける直前
といった 時間を止めた状態 でオブジェクトを確認できます。
これは、
オブジェクトの生き方を追いかける
という感覚にとても向いています。
デバッガーで見える世界
デバッガーを使うと、次のようなことが分かります。
- new された瞬間にオブジェクトが生まれる
- 変数にはオブジェクトそのものではなく参照が入る
- 同じオブジェクトを複数の変数が指すことがある
ここを理解できると、
Java が一気に分かりやすくなります。
サンプルコードで流れを追う
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public class User { private String name; public User(String name) { this.name = name; } } |
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public class Sample { public void execute() { User userA = new User("Alice"); User userB = userA; userA = null; } } |
このコードをデバッガーで追ってみましょう。
オブジェクトが生成される瞬間
new User の行で、
ヒープ領域にオブジェクトが作られます。
この時点で重要なのは、
userA がオブジェクトを持っているわけではない
ということです。
userA が持っているのは
「オブジェクトの場所を指す参照」
です。
デバッガーでは、
- userA の中身
- オブジェクトのフィールド
を別物として確認できます。
参照がコピーされる瞬間
次に userB に userA を代入します。
この時、
オブジェクトは増えていません。
同じオブジェクトを
userA と userB が同時に参照しているだけです。
ここを勘違いすると、
- 意図しない値変更
- どこで変わったか分からないバグ
につながります。
デバッガーで見ると、
両方の変数が同じオブジェクトを指していることが
はっきり分かります。
null が代入される瞬間
userA に null を代入すると、
userA はもうオブジェクトを参照しません。
しかし、
オブジェクト自体はまだ消えていません。
なぜなら、
userB がまだ参照しているからです。
ここは初心者がとても勘違いしやすいポイントです。
オブジェクトはいつ消えるのか
Java では、
どこからも参照されなくなったオブジェクト
が回収対象になります。
ただし、
すぐに消えるとは限りません。
- いつ回収されるか
- どのタイミングで消えるか
これは Java の仕組みに任されています。
デバッガーでは
「参照が残っているかどうか」
までは確認できますが、
「消えた瞬間」までは見えません。
ここも重要な理解ポイントです。
初心者がよくする勘違い
null にしたら消えると思っている
null は
参照を切るだけ
です。
オブジェクトを消す命令ではありません。
スコープを抜けたら即消えると思っている
メソッドを抜けると
ローカル変数は使えなくなりますが、
参照が別に残っていれば
オブジェクトは生き続けます。
デバッガーで見えなくなったら消えたと思っている
見えなくなっただけで、
実際には他から参照されていることもあります。
「見える」と「存在する」は別物です。
実務で役立つデバッグの考え方
現場でデバッグをするときは、
値ではなく参照を追う
という意識がとても大切です。
- 誰がこのオブジェクトを持っているのか
- どこで参照が渡されたのか
- どこで参照が切られたのか
これをデバッガーで追える人は、
バグ調査がとても速いです。
Javaでこれが重要な理由
Java は
- オブジェクト指向
- 大規模開発
- 長期間運用
に向いている言語です。
その分、
オブジェクトの生き方を理解しているかどうか
が実力の差になります。
デバッガーでライフサイクルを追えるようになると、
- フレームワークの理解が深まる
- メモリ周りのトラブルに強くなる
- 設計の質が上がる
といった成長につながります。
Javaプログラマーを目指す人へ
オブジェクトのライフサイクルを理解できるようになると、
Java が「暗記する言語」から
考えて書く言語 に変わります。
これは
Java プログラマーとして
とても大きな一歩です。
まずは自己学習から
オブジェクト指向や Java の考え方を
基礎からしっかり身につけたい人は、
まず
絶対にJavaプログラマーになりたい人へ。
を読んで自己学習するのがおすすめです。
考え方を順序立てて学べます。
それでも不安な人は
- デバッガーの使い方が不安
- 自分の理解が正しいか分からない
- Java プログラマーとして転職を考えている
そんな人には
サイゼントアカデミー がおすすめです。
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コードレビューを通して、
「見えていなかった部分」を言語化してもらえます。
まとめ
デバッガーでオブジェクトのライフサイクルを見ることで、
- 生成
- 参照
- 解放
が一本の流れとして理解できるようになります。
これは
Java の強みを最大限に活かすための土台
です。
ぜひデバッガーを使って、
オブジェクトの一生を追いかけてみてください。

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