✅ GCの種類と挙動の違い(G1, ZGCなど)

Java

~あなたのJavaプログラムを速く、止まりにくくするメモリの仕組み~

はじめに:なぜGCを理解すべきなのか?

Javaを勉強していると、よく聞くのが「GC(ガーベジコレクション)」という言葉。
これは、使わなくなったメモリを自動的に回収してくれる仕組みです。

つまり、Javaが「メモリ掃除」を自動でしてくれる機能のこと。
とても便利な仕組みですが、その掃除のやり方(GCの種類)によって性能が大きく変わるのです。

もし、プログラムが急に止まったり、動作が重くなったりするなら、
それはGCの「掃除タイミング」や「やり方」が原因かもしれません。

この記事では、代表的なGCの仕組みである
G1GCZGC を中心に、違いと使い分けを分かりやすく解説します。


GCとは? 〜メモリ掃除の自動化〜

Javaプログラムでは、オブジェクトを作るたびにメモリ(Heap)が使われます。
でも、使い終わったオブジェクトを手動で消す必要はありません。
JVM(Java仮想マシン)が定期的に「もう使われていないオブジェクト」を検出して回収してくれます。

この自動回収の仕組みが Garbage Collection(GC) です。

しかし、GCが動いている間は一時的にプログラムが止まります。
これを 「STW(Stop The World)」 と言い、
大量のメモリを扱うアプリでは、この“止まる時間”が問題になるのです。


代表的なGCの種類

Javaには複数のGCアルゴリズムがあり、JVMの設定で切り替えられます。
ここでは、特に実務でもよく使われる G1GCZGC に注目します。


G1GC(Garbage First Garbage Collector)

特徴

G1GCは、JDK9以降で標準採用されているGC方式です。
ヒープを「小さなブロック(リージョン)」に分けて、
ゴミが多く溜まっている部分から優先的に回収します。

名前の「Garbage First(ゴミを最初に)」はここから来ています。

メリット

  • ポーズ時間(止まる時間)を制御しやすい
  • 大規模アプリでも安定して動作
  • チューニング次第で高いスループットが得られる

デメリット

  • 設定を誤ると性能が出にくい
  • 超低遅延が求められるケースには不向き

向いている場面

  • Webシステム、業務アプリ、バッチ処理など
  • 「なるべく止まらずに、でも速度もほしい」アプリ

ZGC(Z Garbage Collector)

特徴

ZGCは、「止まらないGC」を目指して開発された最新のGCです。
非常に大きなヒープ(数百GB~数TB)でも、
数ミリ秒以下のポーズで動作するのが最大の魅力です。

内部的には、メモリアドレスの参照を“色付きポインタ”で管理し、
並行して掃除(マーク&リロケーション)を行います。
つまり、アプリが動いている最中にもメモリ掃除が進むのです。

メリット

  • ポーズ時間が極めて短い(数ミリ秒以下)
  • ヒープがどれだけ大きくてもパフォーマンスが安定
  • チューニングがほとんど不要

デメリット

  • 小規模サーバーではオーバーヘッドが大きく逆効果なことも
  • ある程度のメモリ余裕と新しいJavaバージョンが必要

向いている場面

  • リアルタイム性が求められるシステム(株式取引、チャット、ゲーム)
  • ヒープが非常に大きいアプリケーション

GCの挙動を比較してみよう

比較項目G1GCZGC
目的ポーズ時間を抑えつつ高スループット超低遅延・最小ポーズ時間
ポーズ時間数十〜数百ミリ秒数ミリ秒以下
ヒープ分割リージョン単位カラー化ポインタ管理
メモリ効率高いやや高いがメモリ消費も多め
チューニング難易度中程度低(ほぼ自動調整)
対応環境多くのアプリで安定大規模・高負荷環境向け
推奨バージョンJava 11以降Java 15以降(安定化)

実務での選び方ガイド

小規模・中規模システムの場合

G1GC がおすすめ。
ヒープサイズが数GB程度なら、十分安定して動作します。

大規模・リアルタイム処理の場合

ZGC を検討。
ヒープが非常に大きい、または“止まることが許されない”環境に最適です。

GCチューニングの基本ポイント

  • -Xms:ヒープの初期サイズ
  • -Xmx:ヒープの最大サイズ
  • -XX:+UseG1GC または -XX:+UseZGC でGC方式を指定
  • GCログを出力して、停止時間と回収率を確認

GCがアプリに与える影響

GCの選択は、アプリのレスポンス・安定性・スループットに大きく影響します。
特に業務アプリでは「少しの遅延」がユーザー体験を左右することもあります。

例えば、ZGCを導入すると数百ミリ秒の停止が数ミリ秒に短縮され、
レスポンス速度が大幅に向上するケースもあります。

一方で、小規模アプリではG1GCの方が軽くて効率的。
つまり、「早いGCがいつも最適」ではなく、アプリの性格に合わせて選ぶことが大切です。


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まとめ

  • GCとは、使わなくなったオブジェクトを自動的に回収する仕組み
  • G1GCは「止まりにくくて安定」、ZGCは「ほとんど止まらない」
  • 小規模システムはG1GC、大規模・低遅延システムはZGCが最適
  • GCの違いを理解することで、Javaアプリの安定性とパフォーマンスが向上する

次回は、「GCログの読み方とチューニングのコツ」について解説予定です。
その前に、まずは一度、自分のプログラムがどのGCを使っているのかを確認してみましょう。

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